アメリカ音楽珍道中

(2011.7.28に載せた記事です)

25年ほど前、アメリカへ単身赴任中だった先輩(この人こそが僕をブルーグラスに引き込んだ張本人)がアメリカへおいでよと誘ってくれました。何を血迷ったか僕は決断してしまったのです!

なれない飛行機(当然初めてです)に一人乗ってシカゴに降り立ちました。彼が迎えに来てくれてオハイオの家に向かいました。彼はあと数日仕事なのでそれまでは家にいてくれと言われました。しかし、初めてのアメリカで外へ出れるわけもなく、家の中で過ごしました。

彼が休みに入るとアメリカ南部を二人で音楽を見聞きするために出発しました。オハイオからヴァージニアやケンタッキーというとそうとうの距離があります。アメリカの道路はどこも広い!それに標識がわかりやすいのです。さすが車社会と感心しました。

行きかう車はどれもお世辞にもきれいとは言えないです。また、晴れていない時などは昼間でもほとんどの車がライトをつけています。もちろんスモールなどではありません。スピードも出しません。クラクションも鳴らしません。無理な追い越しもありません。アメリカという国土の広さからくる国民性もあるでしょう。車社会の円熟もあるでしょう。でも先輩曰く、トラブルに巻き込まれると身の危険があるから・・・と。それもわかる気がしました。

あと、踏み切りですが「一旦停止」はするな、と言われました。日本とは逆です。下手に停止すると追突されるそうです(勿論停止の標識がある場所は別)。

僕は車の免許を取りたてでしたがアメリカでも少し運転させてもらいました。「クルーズ・コントロール」の有難さを感じたのもアメリカならではでした。なにせ、どこまでも道が真っ直ぐなのですから。

1週間以上音楽を聴くためにあちこち動くわけですから、当然泊まる所も決めなければなりません。モーテルはアメリカでは充実していて、飛び込みでも心配ありません。ただ、男二人ですので少し注意しないといけません?!
彼が言うには「断られるところもあるらしい」。
そこで交代で一人ずつ交渉することにしました。なれない英語で・・・

幸いトラブルもなくモーテル生活はどこも快適でした。

旅の主目的は各地で行われる野外音楽フェスティバルを見ることです。毎年のスケジュールがあらかじめ発表されるのでそれを利用します。

訪れたところはケンタッキー、ヴァージニア、ナッシュビル、テネシーなどです。ナッシュビルなどの都会ではちょっと繁華街を外れると恐かったです。

野外コンサートではあこがれのミュージシャンが次々にステージに立ち、夢のような時間を過ごしました。

感心したのは誰に会っても「ハロー」とか、会釈をしてくれることです。日本では考えられません。僕が日本に帰ってこれをやったら「変人」と思われるでしょう。
トイレの並び方でも感心することがありました。中へ入らずに外で待っているのです。文化の違いとはいえ、見習ってもいいことでしょう。

ヴァージニアで先輩がアイドルとして大好きな「カーター・スタンレー」の墓を見に行きたいと言った時のことでした。大体の場所は見当つくのですがなにせ広いところです。迷った末に雑貨屋さんみたいなところに飛び込んで聞いてみました。お店には数人の方がいて親切に応対してくれます。僕らは「墓」の英語がすぐに言えなくて困ってしまいました。何とかわかってもらった時でした。中の一人が「案内するからついて来て」と言ってくれました。ついていくと「これじゃぁ、僕らだけではむりだわ」というような道を行きます。墓の手前で「この上の丘にあるから」と言って帰っていかれました。僕らは最大のお礼を言いました。

丘に登るとその墓はすぐにわかりました。近づくと音楽が流れました。二人でしばし、感慨にふけります。特に彼は感激しているようでした。彼のこの旅の中で一番の思い出になったことでしょう。日本のお墓は概ね暗いところにありますがここは明るい丘の上です。何かジーンとくるものがありました。彼は中々この場を離れようとはしませんでした。

カーター・ファミリーの娘であるジャネット・カーターが夫のジョーと経営するライブ・ハウスを訪ねて夜のライブを見ました。地元のオールド・タイマーも何人か演奏します。昔のヴァーン・ダンスといった雰囲気もあります。ジャネットのオート・ハープとジョーのギターが奏でるカーター・メロディーは心に沁みました。

ハウス内にはオリジナル・カーター・ファミリーやメイベル・カーター、サラ・カーターの写真もあり、立ち去りがたいものがありました。

そしてある日、思いもよらぬ出来事に遭遇します。広いアメリカで奇跡といってもいいほどの・・・
それはある町で雑貨屋さんとかレコード屋さんを探していた時のことです。
とある雑貨屋さんに入ってブルーグラスやオールドタイム関係のレコードなどがないですか?と聞きました。少し話をしていた時、店の人が「2階にいる人を紹介するよ」と言ってくれました。

少しの間があって2階から女性が降りて来ました。そして僕らの前に立ったその人は・・・!!

「アリス・ジェラード」でした。
ヘイゼル&アリスとして活躍していたその人だったのです。マイク・シーガーなどとも関係の深い女性です。僕のアイドルの一人でした。

しばらく声も出ません。こんな偶然があるのでしょうか?それからは写真を撮ってもらったり、握手したり、もう大騒ぎです。つたない英語で「僕は貴方の大ファンです」と言ったような、言わなかったような・・・

彼女はここの2階で「オールド・タイム・ヘラルド」という雑誌を作っていたのです。

アメリカ旅行はいろんな体験をさせてもらいましたが文化や国民性の違いというものも感じました。

あるショッピング・モールでトイレに行きたくなったのですがどこにあるのかわからなくてウロウロしてました。もう我慢できないと思い、女性店員さんに場所をたずねたところ、遠い場所にあるにもかかわらず、僕をそこまでわざわざ案内してくれました。そしてそこに着くと「here we are!」(だったかな?)と言ってニコッと笑ってくれました。日本ではあまり考えられませんね。

こんなこともありました。よくファースト・フード店にいったのですがオーダーする時や食事を持って来てもらう時、女性が誰もが愛想よく、元気なのです。国民性もあるのでしょうが、あとで聞いたら「チップ」制度が影響しているそうです。少しでもチップが増えるようにがんばっているようなのです。

ノースフェイスの店に入って色々買って店の女性店員さんと少し話ししてると「カタログ」を日本に送ってあげますよ、と言ってくれました。しかし、結局カタログが届くことはありませんでした。こんなことも時にはあるのです。

オハイオのコロンバスでブルーグラス・コンサートがあった時、僕の好きなバンドが次から次と出てくるので写真を撮るのに行ったり来たりしていると、となりの人からやんわりと「take it easy」と言われてしまいました。こんなに恥ずかしい思いをしたことはありません。心から反省しました。自分の人間性がまだまだだなと痛感した出来事でした。

アメリカの人はやはり大きい人が多かった。背ではありません。人間性がです。知らない人と目が合うと「ハイッ」とあいさつします。やはり長い歴史と大きな国がそうさせてきたのでしょう。自分の小ささを痛感したアメリカ旅行でした。















tag : ブルーグラス

プロフィール

YUKI携帯09034596804

Author:YUKI携帯09034596804
柚木光宣。(ゆきみつのり)三重県、いなべ市在住。フライ歴40年 主に中部地区の渓流に通う。
大安トラウトレイクに14年間勤務。他の趣味はブル-グラス(アメリカのアコ-スティック・カントリ- ディキシー・チックス、サードタイムアウト、ドック・ワトソン、カーター・ファミリーなど)、山本潤子、ゴスペル、ジャクソン・ブラウン、イーグルス、NFL、山の幸、山歩き、キャンプ。

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